吐き出すことで楽になるか

「話す」ということは私たちが「コミュニケーション」をとる動物であるから成立することです。私たちが生まれてから成長するにつれて学ぶことは沢山あるのですが、その中でも「言葉」はとても重要なものです。

話せること、言葉を聞いて理解することは、「コミュニケーションをとるための最低限の能力」でもあります。私たちは地球上の一定の地域内でそれぞれ異なった言語を持っています。それらを互いに覚え、理解することでコミュニケーションが可能になっています。私たちは生まれてから数年で誰かとコミュニケーションが可能なまでに言葉を覚えます。世の中に存在する「知識」はそのほとんどが「言語化」されたものです。言葉を理解すること、それを使いこなせるようになることで、私たちは先人が残した、また日々積み重ねられる新たな知識に触れることができるようになるのです。そしてそれらの知識を得ることで、より生きるための利便性を増したり、成長すれば自分が新たな知識や技術を開発できたりするようになるのです。

私たちの「思考」も言葉で形成されます。感情を言葉に表すことで、私たちは改めて自分の感じていることを知ることもできます。自分が何を感じているのか知ることで、自分の「気持ち」を自覚し、それを人に共有することができます。「今自分は楽しいんだ」とか、「今自分は悲しいんだ」というようなことです。

「言葉」は私たちの思考を形成する重要なものなのです。悩んでいること、困っていることも、最終的には「言葉」で表すことができるのです。言葉で表し、論理立てて考えることで、その問題を解決したり、原因を探ったりできるものなのです。ですが、どうしても言葉に置き換えられない感覚もあります。なぜそう感じているのかわからなかったり、どこに違和感があるのかもわからなかったりすると、言葉で「それ」を語ることが難しくなってしまうこともあるでしょう。そのようなときには「それが何なのか」を共に考えてくれる「誰か」がいてくれる必要があります。

その「誰か」はカウンセラーです。うまく言葉にできないから「違和感」のまま、納得できないまま残ってしまうような感覚をうまく言葉で表現して整理してくれる人、そしてそれを納得させてくれる人が、カウンセラーです。よく「吐き出せば楽になる」というものですが、「吐き出すこともできない」ような気持ちもあるのです。そのときに人は最上級の心地悪さを覚えます。それを解決するために、その感情の「言語化」を手助けしてくれるのがカウンセラーです。

吐き出せば楽になるものも、吐き出せなければ意味がない。それは自分がその感覚を「知らない」から、言葉に出来ないからなのです。それに気が付かせてくれるのもカウンセラーです。うまく気持ちを言語化する手助けをしてくれるカウンセラーが、良いカウンセラーだといえるでしょう。問題は誰もが抱えるものです。人はそれらの問題を自分なりに納得して、解決して、また前を向いて生きていくものです。悩んでいるのは自分だけではないということ、誰もが悩むのだということを理解したときに、また少し自分も楽になるのではないでしょうか。自分だけが悩んでいるわけではないということを。

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